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last supper

最後の晩餐をあなたと。

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りんご紅茶って、やっぱり美味しい。
久しぶりに飲んだけど。
あんまりお高いのよりこういうのがすきだ。

紅雪は二次サイトにありますが
同じタイトルを英語にして
オリジに直して書いてみました。
あ、パラレルです。
sinful relations
を読んでいるほうが楽しめるかも知れませんよ。


http://raisondetre.tiara.cx/
→depth→gallery
から読めます。


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crimson snow



チラチラと舞う薄紅は、
まるで赤く色づいた雪のように。
手のひらにつかめたら、願いをかなえることができるとか
いわれている。
乙女チックな幻想は、彼女に感化されたのだろうか。
「沙矢」
くるりと振り返った彼女は、ふわりと微笑んでいた。
少女の面影を宿しながら、大人の柔らかな笑い方をするようになった。
あの頃よりももっと穢れなく目の前に存在している。
時の流れは、何も変えないこともある。
残酷に変えてしまうことも普通のことなのに
彼女だけは、変わらずにそこにいた。
たった一人だけ選び取って、生きてきたから。

慈しんで愛情を注いで
時には狂おしいほどに求めて
歩いてきた。
万感の想いと共に。
側にいたのは、お前だからだと
常日頃から思っている。

風が舞い上がる。花びらが二人の間に立ちはだかった。
沙矢は髪を耳にかけて、目を細める。
青と甘い声が、届いた。
風の強さで声が少しかすれて聞こえるけれど、
沙矢の声を聞き漏らすはずはなかった。

待ちきれなくて、走り出した彼女は、案の定
花びらの絨毯で足を滑らせた。
差し出した腕が間に合わず手のひらをどうにか掴んだけれど
二人して桜の褥の上に横たわった。
正確には、沙矢が、俺の体の上で抱きつく格好だ。
髪を撫でる。
華奢で驚くほどの細腰なのに
柔らかな曲線を保つ体。
その肌の驚くほどの白さを知っている。
出逢ったあの日が脳内で幾度となく繰り返されるようだ。
「まるであの日のようなシチュエーションじゃないか」
「……青」
すがる指の強さは比較にならないけれど。
腕の中で震えるだけのお前じゃないけれど。
まるであの日のようで不思議な気分だった。
巻き込まれる形で、堕ちたこと
からすべてが始まったのだった。
お前は、あの時、俺たちが繋がる未来を想像していなかっただろう。
俺も、逃げることばかりに懸命で、恋にうろたえていたんだ。
失いたくないから、一時の温もりを重ねて
好きという気持ちを永久の愛へと昇華させていった。

腰に腕を回すと、しがみついてくる。
肩の辺りにある髪に唇で触れた。
春の陽気の中、眠りに誘われているのか、
彼女は瞳を閉じている。
無意識で甘える所が可愛いと思う。
こんな女、他にいるはずがない。
無防備なところもたまらなく庇護欲と支配欲をくすぐられる。

体勢を変えて横向きになる。
赤く色づいた唇に、己のソレを重ねた。
途端に目を見開く。
恥らいに頬を染めている。
大きな瞳が、濡れたように光る。
たまらなかった。
深く口づけたら、簡単に陥落した。
唇の隙間から、さっきとは違う甘い声を漏らしながら
腕の中で女の表情に変わった。
唇を舐めたらぴくりと体を震わせる。
「なんて顔だ。こんな所で俺を誘うなよ」
誘っているのは自分だというのを棚にあげているが。
「……意地悪ね」
少し頬を膨らませる癖も変わらないな。
「知ってるだろ」
「よーく知ってるわ」
「ふうん」
またふいうちで口づける。
掠めるだけのキスでわざと焦らす。
「物欲しそうな顔だな?」
にやりと笑う。
真っ赤な顔でふるふると首を振って、立ち上がろうとする
彼女の腕をすかさず掴んだ。
「逃がすわけないじゃないか」
「青なら捕まえてくれるでしょう」
はっとした。
そうやってふいを突いて殺し文句を吐くんだから
恐ろしい女だと思う。考えているのではなく、天然なのだ。
彼女から言わせれば、俺の言動の方がつかめなくて
心臓に悪いらしいが。
後ろから腕を回し横向きに抱き上げる。
「もうとっくの昔に捕まっているくせに?
それとも一度でも逃げられたことがあったのか?」
「っ……」
何事か漏らしながら悔しそうな顔で、胸を叩く仕草さえ愛しい。
子供っぽい仕草は二人きりのときしか見せないのだけれど、
これが見たくて困らせているのかもしれない。
そんな沙矢を見下ろすと、笑みが浮かんだ。
颯爽と歩き出す。
車の助手席を開けて、自分も運転席に乗り込んだ。
「帰ろう」
頷いた彼女は、こっちを見て、瞳を細めた。
一片の花びらが髪の毛に彩りを添えている。
濃厚な花の香りが車内を満たしていた。



*****************************

最近更新できてないので、お詫びもこめて。
お粗末さまでした。
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