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last supper

最後の晩餐をあなたと。

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妄想のカケラが散らばっているのですが、
上手く形にできません。
次の更新予定とか定めてる方はえらいです。本気で。
私には見習えない!

少し、昔から書いてみたかったお話はこんな感じかなあと
断片のみ妄想してみます。
兄弟の愛憎劇?
独占欲が強いから誰にも渡したくはない。
そんな偏愛な兄がすべてを狂わせます。

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セイアは向かってくる刃を平然と受け止めた。
気味が悪いくらいの薄ら笑いを浮べている。
「クックック……こうしてお前と本気でやり合えて嬉しいよ」
「やっと、僕の方を向いてくれたんだねえ」
「……黙れ!」
キリアは勢い良くきりつけた。
セイアの長い髪が一筋、舞い落ちた。
笑いながら、セイアは実の弟との闘いを楽しんでいた。
彼はキリアからすべてを奪った。
彼が唯一手にした光も。
一途なまでの独占欲は狂気と化したのだ。
どうして、自分の物にならないのだろうか。
想いは届くことなく
生温い幸せに浸かる不幸な弟から
何もかも奪ってやりたかった。
心まで引き裂いてやれば、こちらを見るではないか。
純粋な殺意を抱いて
セイアの元を訪れる。
この日を心待ちにしていた。
自分以外で大切な物があるのが許せなかった。
それが、薄汚れた人間の女などとは認められるはずもなかった。
「……お前は可哀相な奴だ」
周りの空気を染め替えるほどの冷気。
彼からは冷えた底知れぬ怒りが感じられた。
それでこそ、愛すべき弟だと。
「キリアとの戦いの中で命を落せるのならいっそ幸せだよ?」
本気になれるのは、キリアだけ。
同じ血を分けた双子の弟。
「俺はお前を兄だとは思っていない。
セイア・グレイは、最早いないのだ」
鋼の刃よりも胸を深く抉った。
予想できていたことなのに何故こんなにも苦しい。
憎しみを糧に生きてきたキリアは未だ
心に純粋な感情を残している。
あまったるい愛。
彼があの女、シェリルと誓った永遠は今でも息づいているのだ。

汚らわしい人間の女。
触れるのなんてとんでもなかった。
あの女を介して、キリアを手に入れたのだ。
現にキリアは動いたではないか。
闇に染まりながらここまできた。
銀の髪が黒に変わり魔そのものになって。
「黒髪の方が似合うね」
魔族として生まれたキリアの本来の姿。
セイアと同じ色。
このまま、流れに身を任せてしまえば
さっさと楽になれる。
手の届かなかったキリアが目の前にいて、
自分を手にかける。
これが、夢見た未来ではなかったか。

「大切なほど、簡単に壊れるものなんだよ、セイア」
僕は痛いほどよく知っている。
だから、教えてやった。
セイアは切れた唇を舌で舐める。
嘲笑うかのように。

どうせ彼もここで死ぬつもりなのだ。
死ぬほどの痛みと苦しみを味わいながらも
生きてきたのは、セイアへの憎悪があったからだ。
死んで、同じ所へなどいけると思うのか。
光を抱いていたあの女と
闇の中で生きてきたお前と。

堕ちる先は同じ場所だよ。
死してようやく、一緒にいられる。
それが、消し去れぬ望み。

「最期に笑うのは僕だよ、キリア」


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