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last supper

最後の晩餐をあなたと。

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何か、良くわかんない感じになってまいりました。
書きたくても、PCの前で創作するの辛い!

安定するまでお待ちください。
(いや、待ってくれる人がいたらの話!
後ろ向き所か常に背中向けててすみません。


心のリハビリということで、
好きシーン創作30題を上げたいと思います。
ぐふ。
「04傷の舐め合いby sinful relations。
クリスマスまでに何か上げれなかったら不味いので
一言。めりくり!
やけに、感情こめて書いた気がします。
序盤より少し進んだ辺り(こないだアップした話よりも後の辺)
甘切ない雰囲気です。

よかったら読んでくださると嬉しいー。

※2013年1月26日加筆修正しました。

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 退廃的で、非建設的な夜は二人の間に今宵も舞い降りる。
 さらり、長い黒髪を撫でながら、息をつく彼は、眉をしかめ、
 甘えていることを自覚しながらも、この状況を打破できないでいる。


 広いソファの上、華奢な体は、腕の中にすっぽりと納まった。
 彼女は、細いのに、女らしさを纏っている。
 肌を通して、彼女の感情が伝わってくるようで、少し、怯える。
 臆病風に拭かれて素直になれない己のせいだ。
 傷を抉り、更に自分が傷つく。
 何度、欲情をぶつけても、変わらない純で無垢な
 乙女が、小憎らしく、壊してしまいたくなる。
 同時に守りたいとも思うけれど、苛みたい気持ちの方が強かった。
 青とは違い、薄汚れず常に自分を保っている沙矢。
 もしかしたら、青が初めての相手だったからこそ、
 忘れられずに、何度も受け入れてくれているのではないか。
 愛というよりも依存なのではと、
 疑ってしまう己のずるさを恥じた。

 処女は面倒だなんて思ったことはない。
 自分の手でどんな色にも染められるのだ。
 まさか、逆に自分自身が溺れるとは思わなかったのだけれど。
 長い髪をシーツの上に散らす度に、
 自分だけの物にしたい、
 このまま楔を打ち込んだままでいたいと
 願ってしまうのだ。
 繋がったままで、時を止められたらさまざまな苦痛からも逃れられるのに。
 やましい心を知られたくはないと思った。
 傷つけずに抱くことができるようになった時は別でも。
 青は、衣服越しに伝わる柔らかさに、苦悩した。
 今日は抱けない。常に抱きたくても今宵は。
 腕の中に閉じ込めて、じっと抱きしめあっていたかった。
 自分自身が良く分からなくて戸惑うばかりだった。


 彼が、僅かに震えているのは何故なのだろう。
 きつく抱きしめられ、腕の中に囚われていても、
 何かが起きる気配はなかった。
 息遣いと、乱れた鼓動から不安が、伝わってくるようだ。
 香水と、彼自身の匂いが混ざった香りにどきんとする。
 いつも激しく抱かれて、青のすべてを受け止める、その
 度ににおいが移る気がして、それがどうしようもなく嬉しかった。
 こうして、甘い抱擁に身を任せているだけでも
 匂いは、伝わってきて、いちいち鼓動が早なってしまう。
 名前を呼び合うわけでもない。
 彼の部屋の広いソファで、膝を彼に抱えられている。
 背中に回された腕の熱さは、一瞬びくっとなったほど。
 ぐ、とこちらからも力をこめて抱きしめたら、
 青は呻いて、更に力を強くした。
 骨が軋むみたいで、じんわりと熱を伝え合ってるみたいで、
 体をつなげるよりもなぜか近くに感じてしまう。
 傷を舐めあうみたいに抱き合うよりもずっと。
「青……」
 頬を寄せ、体を傾ける。
 体勢が変わって、彼がソファに横たわらせてくれた。
 あの美しい深遠の瞳が見下ろしてくる。
 沙矢が、瞳を閉じた時、深く唇が重なった。
 切なくなって、胸がきゅんと鳴る。
四肢を絡ませて、口づけは暫く続き、
 お互いの吐息を乱して、唐突に終わった。
 空気の濃度が変わったように感じた。
 途切れた糸が顎を伝い落ちる。
 沙矢の意識は、霞(かすみ)がかって彼のことしか分からなくなる。
 自ら彼に抱きついたら
「お前は可愛いな……」
 なんて、ひどく甘く囁かれてぼうっとなった。
 涙が、頬を伝う。
 拭ったのは、指先ではなく熱い唇。
 睫(まつげ)の滴(しずく)を舌先で掬われて、心臓が暴れた。
「青は優しいね」
「俺は優しいんじゃなくて……」
“自分勝手で卑怯なだけだ。
 逃げていることを正当化しているじゃないか”
 耳に直接注がれた吐息交じりの言葉。
 不器用な青に沙矢は、一段と惹かれる自分を感じた。
 優しくない人が、自分が傷を与えていると
 感じるわけがない。
 すべてにおいて、器用で完璧のはずなのに自らの感情を
 相手に伝えることに関しては、驚くほど不得手だった。
 年上で大人でも、可愛くて、抱きしめて
 包んでいたいと思うのは、彼がそんな人だからかもしれない。
 もっと、酷く傷つけられていたら、こんなに好きになることもなかった。
(……愛しすぎて泣けてくるわ)

 熱は奪われることはない。
 生まれ続けてしまうから。
 傷を与え合っているだけの愛は、いつか本物になるだろう。




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