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last supper

最後の晩餐をあなたと。

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紘也×李子第三段です。
うわー早いっ。こないだ更新したばっかりなのですけど、
この二人の存在感て計り知れないものがあって、今のうちに書いておくしかないと
思いきりました。
良かったら楽しんでください。ラブコメ目指してます。
恋愛モード全開桃色フルパワーですので苦手な方はご注意。

オブラートに包んでいますけどね。

そして今までのこのシリーズで一番長いです。恥ずかしいです。



01 髪を梳く(Pleasure,Treasure。1→12→5)
02 口付けを落とす
03 指を絡ませる(fall in down)
04 傷の舐め合い
05 背中合わせ(12の続き。Pleasure,Treasure)
06 暴露(紘也×李子3)
07 頬に触れる
08 秘められた関係(総一朗×まどか)
09 庇う
10 追い詰める(13の続き。sinful relations)
11 生む
12 後ろから抱き締める(5の続き。Pleasure,Treasure)
13 手を伸ばす(sinful relations)
14 ──越しに触れる(ガラス越し、格子越しなど)
15 撃ち抜く(紘也×李子2)
16 共犯、共謀(紘也×李子)
17 前世からの付き合い
18 サイン (Eden)
19 抱き合う
20 シーツにくるまる(Pleasure,Treasure)
21 殺す
22 ラインを辿る
23 騙す
24 忠誠を誓う
25 腕を組む (sinful relations)
26 告白
27 許す
28 寄り添う
29 押し倒す(10の続き。sinful relations)
30 終幕

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気だるい。
見覚えのある壁と天井は、確かに自分の部屋。
だが、妙にすうするする。
腕で触れれば、素肌だった。

それに、錯覚とは到底呼べないリアルな感触が肩のあたりにあった。
まぎれもなく異性の腕。自分より太く長く
簡単に包み込んでしまうそれは、よく知っている男のものだった。
横顔を確認し、間違いないことに唖然とする。
「ぎゃっ!」
事実を簡単に受け入れられるほど慣れていなかった。
何もかも初めてで、いきなり色々すっ飛ばしたのだ。

何が起きたのかしっかりと、悲しいほどに全部残らず覚えていた。
体内に残る熱が僅かにくすぶっているのが証拠だ。
改めて実感すれば、この事態はとんでもなく厄介だ。
裸足で逃げ出したくなる。
私……裸足どころか裸だった!
と冷静な頭で考え、自分の体を上から下まで眺めまわした。
(うわ……)
浮かび上がっている見慣れない色をした痕は、うっ血痕。
俗に言うキスマークだった。
「肩にも首にも二の腕にもあるし……どうしようこれ!
何日くらいで消えるのかな。どっかで打ったって言い訳する?」

ぶつぶつ呟いて頭を抱えて、もう一度うなったその時だった。

「うるさいぞ……李子」
「ひい」
隣で寝ていたはずの彼が、目を覚まし、あろうことか腕を掴んでいる。
「だ……だって……っ……パ、パニクる気持ちも解れ」
逆切れなんて見苦しい。
分かっているが、意識しないようにすればするほど
色々思い出してしまい、取り乱してしまう。
紘也は、冷静そのもので落ちつき払っていると言うのに。
「あんなに威勢よかったのに、この差はすごいな」
呆れと感心どちらも含んだ物言いをされ、むっとすると同時に湧き上がる羞恥。
これから先、ネタにされるに違いないと、今までの決して
短いとは言えない付き合いで、悟っていた。
そういう相手だ、真横にいる存在は。
「……腕離してほしいんだけど」
「嫌だ」
駄目押しで妥協してみよう。
「じゃあ、力緩めて」
「緩めたら、部屋から出ていくだろう。せっかくの余韻をさっさと
洗い流すなんてロマンの欠片もない。
もう少しこの時間を大切にしようじゃないか」

一気に頬に熱が溜まっていく。絶対今の顔は真っ赤に違いない。
「こっち、み、見るな!」
顔をそむけようとするも、顎を押さえられ適わず。
「無理な相談。貴重な瞬間は、逃す気はない」
心臓が暴れる。
小憎らしい端正な顔に、じいっと見つめられ
平静をを保てなかった。おかしいな。
ただの悪友にすぎなくて、今まで、一定の距離を保ってきたはず。
やはり、うっかりこんなことになったから、
意識し過ぎてるだけなんだ。そうに違いない。
(……って……うっかり? そんな軽はずみで
できるわけないじゃないか。ずっと友達だった男と。
私、やっぱり異性として紘也が好きだったのかな)
「好きだったんだろ」
「声に出しちゃってた?」
「もれなくだだ漏れ。考え事すら静かにできないなんて中々愉快な奴だな」
くっくっく。喉を鳴らした笑い声に、いっそ殴ってやろうかと思った。
「気づかない振りしろよ! 今までの出来事を回想して
何とかまとめるのに一生懸命なんだから」
「素っ裸で言われても」
また笑われ、慌ててシーツを引きかぶり、背中を向けた。
触れている場所は腕から手に移動している。
「やっぱり、間違ってるよ。付き合うにしても
順番があるだろ。私と紘也……いきなり」
何故だか体が火照りだしてしまい、深呼吸して動揺を抑えようとした。
「うーん、李子はどうやら、今まで付き合っていたことに
気づいていないみたいだな。俺としてはちょっとショックだ」
「はあ!?」
「ほら、いつか、俺が電話で付き合え
って言ったことあったよな」
「う、うん。でも、あれは、今日付き合えってことじゃなかったっけ?
特に用事なくて暇だったからOKしたんだけど」
そういうニュアンスだと思っていた。
映画行ったり、何故か釣りに行ったりしたけど
楽しくて仕方なかった。
「おニブな李子には少々分かりづらかったか。
あれは、今日から俺と付き合えってことだったんだけど」
「私、紘也に好きって言ったかな」
「男友達相手に女丸出しだったから、分かりやすかった」
あり得ない。色目なんて使った覚えないし。
「顔赤らめて頬膨らませて嫌いっていうのは、
大体は、好きの裏返し。
意地っ張りな李子は、素直じゃなかったから大変だった。
ここまで来るまでに俺にしては、時間がかかってしまった」

紘也は、さらっと爆弾発言をかました。
そして、更に。
「これから先は、友達だろうが男を部屋に入れるなよ。
肝心な所で無防備なんだから、危険だ。まったく心配でしょうがない。
ま、そのおかげで、俺はお前をモノにできたんだけど」
「……っ!」
開いた口がふさがらず、魚のようにぱくぱくと動かす。
どうやら不味い男に捕まったようだ。
「詐欺だ。訴えてやる……」
「勝てやしないのに」
いきなり引き寄せられ、耳元に息がかかる。
「最初から友達じゃなく好きだった」
「ひ、紘也!?」
「あまりに李子が、可愛く抵抗するから言わずにいたんだよ。
友達として側にいる為に必要以上に近づかなかったし」
 注ぎ込まれる言葉は、あまりに唐突で、だけど
よく考えると気づこうとしなかっただけで全部真実だったのだ。
「李子は俺のことが好きだから、抱かれた。本気で嫌なら流れとはいえ、
こんな風にはならなかったよな? まさか一夜のアバンチュールを楽しんだとでも?」
攻め立てられ、ぶるぶると首を振る。
もうこれ以上、逃避してはいけない。正直にありのままに向き合わなければ。
「紘也が……す、好き」
頑張ったつもりが、か細い声になってしまった。
「よく聞こえない。そうだな。キスしてくれたら、李子の気持ちだと思って受け取るよ」
駄目だ。紘也の顔みてみたい。
欲求を止められず顔をあげたら、この上なくやさしく微笑んでいた。
意味深な眼差しが、引っかかる気はするけれど。


す、すうと息を吸い込んで首筋に抱きつく。
顔を重ねて、唇に触れた。とくん、心臓が高鳴った。
甘くて溶けそうな気がする。

やがて、キスの主導権は紘也に移り、
そのまま、昨夜よりも、
もっと彼を感じる時を過ごすことになった。

愛しくて、ときめいて、涙がいっぱいこぼれるくらいに。






**********************************
そんなこんなで、一話目、その後の顛末です。

お疲れ様でございました。

そして、「命令系」で交際を申し込まれていたことに
気づいていない鈍い李子(笑)

意地っ張りで、すぐ向きになる癖に肝心な所でつめが甘い。
だから、紘也も、李子がかわいくてたまらないんだろうなー。
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